偏食系男子のススメ【完】
……致し方なし。というやつだ。
大人しく教室戻ろ。
まったく随分無駄なことをしてしまった。川端さんのせいだ。
内心で八つ当たりしつつ元来た道を引き返し、結局はつい数分前上ってきた階段を足取り重く下ってゆく。
……うわ、私すごいバカみたい。
「――チナミー、待ってよぉ」
ただでさえイラついているのに、3階の廊下から人が飛び出してきて、踊り場を塞がれた。
上にいる私には気付かずに、女子二人が何やら険悪なムードを醸し出している。
……もう一体なんだというのだ。
階段で溜まるな! 通れない! 邪魔くさい! 突き落とされたいの!?
「……もうマジでムカつく、どうして川端じゃなくてあたしが責めらんなきゃなんないのよ!?」
「落ちついてって、……いやだってまさかウチらがシフトサボったこと言い付けるバカがいるとは思わないじゃん?」
怒鳴りつけてやろうとしたところで、ふと聞き覚えのある声であることに気付いて思いとどまった。