偏食系男子のススメ【完】
「……やっばい、……俺は今日最後まで理性を保てる自信がない」
「ま、真顔で言うな!」
「藤島が悪い」
「人のせいにすんな!」
「アハハ、冗談だって」
慌てて怒鳴りつけた私に、早川は誤魔化すけどその直後、小声で「半分だけな」と付け足したのは聞こえなかったことにする。
いくら私が魅力的だからといってそういう風に見るのはマジでやめてほしい。キメエ。
まあまさか、遊園地じゃどう間違ってもそんな色気のある展開にはならないと思うから安心はしているけど。フラグじゃなく。
その後暫くの間一人で悶えていた早川だったけど、
「じゃ、そろそろ行こうか」
やっと落ち着いたのかぐっと背筋を伸ばして私を見た。
目が合えば、ふにゃりと笑ってこっちに右手を差し出してくる。
「……なに? その手は」
「え? デートなんだから手繋ぐくらい、」
「駄目に決まってるよね? 調子乗んな」
ハンッと鼻で笑って、彼を置いて歩きだす。
時間経て、さっさと日が暮れ帰りたい。一句出来た。