偏食系男子のススメ【完】
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「見て見て藤島、風船もらった」
小学生か。
紐に繋がれた真っ黄色のそれを嬉しそうに掲げる早川に、ドン引いた視線を向けながら思う。
いや、それは小学生に失礼かもしれない。10歳年下の子どもでさえここまではしゃいだりしないだろう多分。
「……ああそう。よかったね」
確か空いた小腹を満たすために、フランクフルトのお使いに出したはずが、なんでそんな余計なものゲットしてきてるんだよ。
それは頼んでない。
「はい、藤島にプレゼント」
「ごめんいらない」
「即答!?」
無理矢理私の手に紐を握らせてこようとする早川をひらりとかわし、首を振った。
だって手塞がるの嫌だし。邪魔だし。恥ずかしいし。