偏食系男子のススメ【完】
……あ、でもよく考えたら、川端さんと早川だけで違う映画を見てくれるってことじゃない?
……あらあらあらあら、図らずとも最高の展開、私って天才かもしれない。
「……あーちんたち、こんな映画観る予定だったの?」
なんてことに気付いてほくそ笑んでいれば、チケットを確認したらしい川端さんが首を傾げて私のTシャツの裾を引っ張った。
伸びるだろ引っ張るなぶりっ子。
「そうそう」
「ええー、やだなあ。きらり、ホラー映画苦手なのにい」
「そうそう。私も恋愛映画は苦手……ん?」
「え?」
早川を振り返れば、勝ち誇ったような笑みを向けられる。
……コイツ。
川端さんの持っていたチケットを無理やり奪い取って見れば、私と翔くんが見る予定だったスプラッター映画のものだった。
「な、何で……!?」
「だって藤島が指した映画って、14時からのしかなかったし、10時集合にしてちょうどよく上映されてて、かつ藤島が興味ありそうなのって、これしかなかったから」
「……」
「ビンゴ?」
……うっわ、ムカつく。