偏食系男子のススメ【完】
黙っていれば、それを肯定と見なした早川は嬉しそうに笑う。
「俺が、みすみす藤島を他の男と二人っきりにさせてやるわけないじゃん」
「……」
「全部お見通し。俺が藤島のことどんだけ好きか、分かってないの?」
「……」
「……キュンときた? 付き合う?」
「死ねばいいのにって思ってる」
ちぇ、駄目かーなんて言って早川は肩を竦めて見せ笑った。駄目に決まってんでしょうが。
もうマジで悔しすぎる。見透かされてたなんて。早川のくせに。早川なんかに。
叫びだしたくなるのを堪えて彼を睨み続けていたら、ポップコーンとポテトとコーラまで奢ってくれたから、許してあげることにした。ラッキー。
よく考えたら早川は大して悪いことしてないけど、結果オーライってやつだろう。
それから翔くん、川端さん、私、早川の順で席に着いて、退屈なコマーシャルを眺めていれば本編が始まり、初っ端からグロテスクな描写が凄まじい。
うわ、キモいな。
ていうか原作の小説は読みごたえがあるミステリー要素の濃い話だったのに、映画じゃアクション重視なのか色々省かれてて、チープな構成。若干白ける。
原作のある実写映画って失敗作のが多いよなあ。