偏食系男子のススメ【完】
「私は物足りなかったけど」
「……あーちんって頭おかしいよね」
「川端さんには言われたくない」
ムカッときて彼女の足をテーブル下で踏みつければ、何故かその横に座っていた翔くんが悶え出した。
あ。間違った。ごめん翔くん。まあいっか。
「大丈夫翔くん、……ちょっと早川、謝んなよ」
「え、俺? 藤島じゃね? ……いでっ、……ごめん」
「……」
翔くんはクールだから、敢えて私を責めたりしなかったし、ちょっと腕をつねれば早川も大人しく罪を被ってくれたから見直した。
あと、罪のない翔くんの足だけを攻撃してしまったのは不公平だったかな、と思い出して残り二人の足も踏んでおいてあげる。
「……藤島の頭おかしいとこ好き」
とか痛みを堪えながらほざいた早川にだけは、もう一発食らわしといた。
まったくもう頭がおかしいだなんて心外だな。
特に早川と川端さんだけには絶対言われたくないんだけど。
私みたいな常識人ってそうそういないだろうにまったくもう。しょうがない人たちである。