偏食系男子のススメ【完】
代わりに眉を顰めてみたけれど、それ以上何も言う気がないらしい川端さんはうふふと気持ち悪く笑うだけ。
話せば楽になるって言って聞き出したくせにムカつくな……!
やっぱ結局話した意味なかったんじゃないの。
気付いたことがあるなら勿体ぶらずにはっきり言えばいいのに。どうせ大したことじゃないか、見当違いな答えが返ってくるだけだろうとは思うけど。
だって、避けてたのは私の方なのに、どうしてこっちから話しかけに行けるなんて言える?
そんなの滑稽。どのツラ下げてって感じじゃないの?
私のこと好きなのは早川の方だったのに、私の方から話しかけるのはなんか癪だ。
「だ、」
「え?」
「――誰が早川なんかに、自分から話しかけるわけあるか!」
半ば怒鳴るように言って、持っていたメロンパンのゴミを丸めて川端さんのおでこにぶつけた。ら、中に残っていたカスが飛び散った。
「……お、怒ることないじゃん! ひどおい、もう、最低! あーちんのバカ……っ!」
涙目になってぎゃーぎゃー騒ぎながら、制服にかかったメロンパンのカスを払っている川端さんから顔を逸らして、長いため息を吐く。
ヤキモチ? まさか誰が誰にって言うんだ。
……アホらしい。