偏食系男子のススメ【完】
高校卒業したら縁切るに決まってる。ていうか今すぐ切りたいけど、クラスが隣である以上は転校しない限り難しそうなんだもん。
ていうか転校しても私についてきそうで怖い。もう超恐怖。
ゾッとして体を震わせれば、
「あーちん、今きらりに失礼なこと考えてたでしょ?」
と妙に鋭い川端さんに睨まれて、大人しく頷いた。
普段私が彼女をウザがっていることは察しないくせに、こういうときだけ気付くからほんとずるい。
またひどい! と叫ばれてしまったけれど、じゃあなんて言えばよかったんだよと切実に思う。
パンケーキもう一皿食べたいなー。
次はメープルシロップじゃなくて、いちごの乗ったやつ。
「……へえ、付き合ってないんだ」
「……何? 付き合ってなかったらなんかあるわけ?」
メニューに手を伸ばしかけたところで、呟いた翔くんの言葉に一瞬嫌な予感がした。
あ、この人私のこと好きなんじゃないかなっていう。
生憎残念ながら、私はどこぞの少女漫画のヒロインみたいに天然だったり鈍感だったりしない。
どちらかといえば自意識過剰だし、人を魅了するくらいには綺麗な顔をしているっていう自覚もある。
それなのに何故か男は寄ってこないけど。女も寄ってこないけど。
最初は話しかけられるけど、ちょっと本音を漏らすだけで皆逃げていってしまうのだ。いやー不思議不思議。