偏食系男子のススメ【完】




「せっかくきらりがアドバイスしてあげたのに、あーちん何も行動してないよね?」


「なんかムカついたから」


「大事なものは失ってから気付くっていうのに、あーちんはなかなか気付かないよねぇ」




ふーっと憂いを含んだ表情で溜息を吐いた川端さんは、隣にいた翔くんの存在を思い出したようで、慌てて気まずそうに顔を引きつらせた。


まったくどういう意味だというのだ。




「あ、ごめん翔ちゃん! あーちんのこと好きなのに、きらり、今デリカシーなかった!?」


「川端さんそういうこと言ってる時点でデリカシーないと思うよ」


「その前に俺をこの場に誘った藤島こそデリカシーを持て」




至極もっともなことを言われてしまった。ごめん翔くん。



特に傷ついた素振りも見せずに、呆れた表情の彼にてへっと笑いかけてみたけど無視された。人のサービスを無下にするなよ金取るぞ。




「いいけどもう。吹っ切れてるし」


「さすが翔くん」




夏休みっていうのは気持ちにケリをつけるのにはとても便利だ。私が言うことじゃないけど。


翔くんとまた友達でいられて、嬉しい。



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