偏食系男子のススメ【完】




「……それは藤島独特のヤキモチだと受け取っていいんですか?」


「……違う。バカにしただけ」




嘘つけよ。とまたニヤける。


普段から考えてたのだろうか。あのポーカーフェイスの裏側で。


藤島は悩んでたのかもしれないけど、素直にめちゃくちゃ嬉しい。大事な彼女を不安にさせた自分は悪いと思うけど、めちゃめちゃ顔がニヤける。



だらしない表情を隠すために手の甲で口を覆った俺と、再び膝に顔を伏せた藤島。


あー幸せだな。なんだこれ。


いつもは俺が女子と話してようが何の関心も示さないくせに、こんな時だけ本音出すからズルイよな。もうヒロノちゃんと連絡取るのやめよう。



それと同時に、酔った時にしか本音を言えない強がりな彼女が可愛くてしょうがない。我慢させてたのかなと思うとちょっと反省した。


もちろん浮気なんて死んでもしないししてないし、する気もしないけど。




「……藤島」


「……」


「……抱きしめてもい?」




首を振ることも頷きもしない藤島のそれを肯定と捉えて、思いっきり抱き寄せた。


藤島は簡単に俺の腕ん中に転がってきて、その温かさにほっとする。


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