偏食系男子のススメ【完】




「……考えといてあげてもいーけど」




そう言って大人ぶる彼女に、俺は一生敵わないんだろうなと思う。


だってそんなぶっきらぼうな言葉一つに心臓が熱くなって感動してしまう。


強がりなとこも、ほんとは優しいとこも、素直じゃないとこも全部好き。死にそうに幸せ。



嬉しすぎて軽く笑えば、珍しく藤島も素直に口元を緩めてくれた。いつもの人をバカにしたような目じゃなくて、小学生みたいに幼い無邪気な顔。どうしよう可愛いんですけど。




「……アリガトウゴザイマス」




殴られる覚悟で再びその体を抱き寄せれば、今度は背中に手を回して軽く抱きしめ返された。それだけでまた嬉しい。




「……考えとくだけ、だから」


「はいはい」




そう言いつつも背中に回された腕には一層力が込められて、内心思い切り悶える。


うちの彼女可愛すぎてつらい。


いつかほんとに藤島が俺の苗字になる日が来ればいいのに、なんなら今すぐでもいいのに、と切実に思った。























ちなみにそのあと隙をついて軽くキスしてみたら強く殴られた。っていうのは余談です。




「っ、調子乗んな……!」

「今そういう雰囲気じゃなかった!?」

「違う! しね!」




fin.




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