偏食系男子のススメ【完】
「……いいの、藤島。あんな強引に決めちゃって」
「平気平気」
すでに教室では、ぎゃーぎゃーと私に向けての悪口大会が始まっていた。
我がことながら、びっくりするくらいの嫌われよう。
そんなに悪いことしたかなって思うくらいには疑問である。私は自分の仕事を全うしただけだ。感謝されてもいいくらいなのに。
「……何? 私のやり方に文句あるなら、早川のこと白雪姫役に抜擢してやってもいいけど」
未だ心配そうな顔でこっちを見る早川を睨みつけたら、
「そうじゃないって!」
と慌てた様子で弁解された。
「かっこいいなって惚れ直しただけ」
「はあ? 頭おかしいんじゃない?」
「藤島なりに、ちゃんとクラスまとめようとしてんだろ?」
そんなわけないじゃん、と鼻で笑ってやったけれど、早川は自身の台本を持ち上げて、人懐っこい笑顔を見せる。全然可愛くないから。