偏食系男子のススメ【完】
「ほら、ちゃんとじゃんけん負けたこと、気にしてんじゃん。優しいじゃん、藤島」
「……はあ!? な、なんなの!? 違うって言ってんじゃん、マジでウザい! 死ね早川!」
「俺藤島のそういうとこ好き」
「……っ」
気にしてるわけあるか……!
早川は物事をポジティブに解釈しすぎなのだ。
どんなフィルターを介せば、私が優しく映るのだろう。頭イカれてる。マジで死ね。
「だから今度台本作ったりするときは俺に言えよ、手伝うから」
「分かった、全部押し付ける」
「全部かよ」
何がおかしいのか、吹きだして笑った早川をまた強く睨んだ。
……ああムカつく。ほんとに。勝手なことばっか言って、私を知ってるような口利いて。
バカじゃないのって感じ。今度余計なこと言ったら舌引っこ抜くぞ。
――本当、早川の隣ってすこぶる居心地が悪い。