偏食系男子のススメ【完】
「クラスの仕事手伝わなきゃだろ」
「だ、だって、きらりがいたらクラスの雰囲気、悪くなるじゃん……。あーちんのとこにいたい……っ」
「ぐえっ、いややめてまじキモイはよ帰れぶりっ子雑巾!」
涙目の川端さんに抱きつかれ、その衝撃で変な声が飛び出す。
彼女は上目遣いで私を見上げるけれど、その頬を押して必死に顔をそらした。
うわーウザい。私他人に抱きつかれたり体を触られるの大嫌いなのに。勘弁してよ。相手が川端さんならもう尚更だ。
ちょっと羨ましそうに見ているそこらの男子と代わってあげたい。
と思っていたら、川端さんの二の腕を引いた翔くんによって体は離された。よかった。
「けどきらりがいなきゃ衣装完成しないだろ」
「やだよお、自分の仕事はちゃんとお家でやるから、あーちんと一緒にいるううううう!」
「クラス戻れ、私も暇じゃないんだよ。実行委員だから人一倍働きゃなんないの」
嘘だけど。軽くクラスから省られている私に忙しい仕事なんて任せてもらえるはずもなく、小道具係っていう特に必要性の感じない係に属している。
多分、学校祭前にそこらのスーパーで林檎でも買ってくれば終わる仕事。楽で良いったらない。
川端さんは、見た目だけでなく一応中身も女子らしく、お裁縫なんかも得意で衣装係として活躍してるみたいでめでたしめでたし。
ていうかそうやって頑張ってクラスに貢献してるのに嫌われてる川端さんって相当すごいよね。ウケる。