偏食系男子のススメ【完】
怒気を隠すことなく私に向けてくるボス猿こと道路に溜息を吐いた。
ていうか私いつ早川に仕事押し付けたよ。全部あいつが進んでやってるんだろうが。
ちらりと教室の中心で、皆に囲まれながら劇に使うテーブルを作っている早川を見れば、楽しそうに笑っている。はいはい人気者ですこと。
無理矢理やらされている人間はあんな風には笑えない。言いがかりもいいとこだ。
そもそも早川は大道具のグループに振り分けられているんだから、あれは私の仕事じゃない。もともと早川の仕事だ。
なんで私が責められなきゃならないんだろう。
そりゃあ委員会は早川に任せているけれど、実行委員の仕事は彼から連絡を簡潔に聞いて、自分の分は自分でちゃんとこなしている。
何も知らない癖に正義感振りかざしていい子ぶるのはやめてほしい。そういうのは川端さんでお腹いっぱいだから。
どうせ普段の私と早川を見て、今回も私が彼を良いように使っているとかバカな思い違いをしたのだろう。
そんなに私に話しかけたかったのかな。ツンデレかよ。今時流行んないっつーの!
「……分かった。で、なにすればいい?」
まあ言い返すだけ時間と体力の無駄。こういうときは素直に認めて、バックれるのが一番であることを、賢い私は知っている。
「買い出し。行って来て。みんなの分のアイス、お金はクラス会費から出るから」
「了解」
パシリかよ。まあ都合いいけど。大人しく頷いて、教室から堂々と出た。
もちろんそのあとは戻らなかった。