偏食系男子のススメ【完】
あの女とは多分相性が良くない。絶対気が合わん。向こうもそう思ってるだろうけど。
「じゃ、一緒に行こう藤島。手繋いで」
「あんたと繋ぐくらいなら腕ごと切り落とした方がマシ」
「怖ぇーこと言うなよ」
慌てて手を引っ込めた早川を鼻で笑って、教室を出た。
その後ろをそいつは一定の距離を保ちながらしっぽを振ってついてくるから、なんか犬を散歩してるみたい。こんな犬欲しくないけど。
……もうそろそろ劇の練習が始まるだろうか。教室に残っていたのも数人だけだったし。
どんな出来になっているのか、興味はある。役を持った人たちは、一応毎日練習してたみたいだから。
小学生より下手な演技してたらお腹抱えて大爆笑してやる。と、新たな楽しみを胸にまた鼻で笑った。