偏食系男子のススメ【完】
やっぱり人はおらず、作業のために机が全部後ろに下げられている。
カーテンは閉められ電気も消されていて、教室内は薄暗かった。
そのため広げっぱなしになっていたスナック菓子を踏んでしまい、うわ、と思わず呟く。こんなとこにおくなよ。
ゴミ箱に放り込んでやりたいところだけど、誰かが私の踏んだお菓子を食べてお腹でも壊せば大変愉快。放っとこ。主にボス猿とか。
って考えてたのに、早川がそそくさとそれを捨ててしまったので、残念無念また来年。って感じ。
まったく気の利かない男である。
「早川、電気つけて」
「……今、藤島と二人っきりだって考えたらなんかドキドキしてきた、どうすればいい?」
「電気をつけた拍子に死ねばいいよ」
「その瞬間何があんの」
廊下は他のクラスの生徒の声でうるさくてムードもへったくれもないのに、おめでたい頭だ。
他の女子に同じことを言ってやれば目をハートにして喜ばれるのだろうけど、私はそうじゃないことにいい加減気付いてほしい。