偏食系男子のススメ【完】
別に聞かれて困るような会話をしてなかったからよかったけど。
短いスカートの女子で、正面から見れば下着が見えてしまいそう、別に見たくないけど
なんて考えながら音を立てないようにそっとその人に近付こうとしたのに、
「どしたん藤島」
早川が遠慮なく私のあとをついてきたから台無しになる。
ほんとに空気読めない男……!
いきなり声かけて驚かせてやろうと思ったのに。人の悲鳴聞くのって割と嫌いじゃない。
そのおかげで振り返ったその子と目が合って、お互いに固まった。
「……道路」
「ちげーよ!」
げええええ、ついてない。マジでついてなさすぎる。
勢いよく立ち上がってふがふが鼻を鳴らすボス猿を見て、こっちも反射的に眉を顰めた。
なんでこんなとこで蹲ってたんだよコイツ。体育館行ったんじゃなかったのか。
せっかく避けてたのに。どんだけ影薄いんだ。もっと自己主張してくれればさっさと逃げれたのに。
ていうか電気も点けないで何して……。
じっと彼女の目を見詰めていれば、一瞬でその瞳の奥が揺れて顔をそらされた。