偏食系男子のススメ【完】
「いい加減言えば? 私って意外と面倒くさくてしつこい女なんだよ? 知らなかった?」
「いやあんた、見るからにめんどくさいわよ」
「うるさい、はよ謝れ!」
言えば、ボス猿が狼狽えて、ごくりと唾を飲んだのか喉元が動く。
少し迷うように瞳が動いたから、
「今なら正直に言えば、許してやるけど?」
チャンスだとばかりに畳みかけた。
ちなみにもちろん許す気はない。倍返す気満々ですけど何か?
嘘も方便って言いますし。このくらいの可愛い嘘は見逃してほしい。てへ。
なんて私の内心を知らないボス猿は、ついに諦めたように項垂れ、躊躇いがちに口を開いた。
「あの……」
「ん?」
柄にもなく優しい声を発した私に対して、早川が横からドン引いた視線をこちらに向けてくるのが分かる。
お前失礼すぎだろ私のこと好きなんじゃないのかよと思ったけど、意識はボス猿に集中させて、気にしないふりをした。