偏食系男子のススメ【完】
「……ないの」
「何が? あんたの知性と品性が?」
「違うって! だから……、………が、ないの……」
「聞こえないっつの!」
もごもご誤魔化すボス猿の頭にチョップを食らわせれば、ついに腹を括ったのか、顔を上げた彼女は真っ青な顔面で私を睨みつける。
迫力ないから全然。超具合悪そう。ウケる。
「……クラス会費がない……」
今にも消え入りそうなか細い声を吐き出したボス猿は、泣きそうに顔を歪めて、唇を噛みしめた。
……え。なんだって?
「クラス会費がない!?」
「そ、そう言ったじゃん、何回も言わせないでよ……っ!」
「いくら?」
「に、……2万6000円……」
「そんなに!?」
そうだ、そういえばこいつクラス会計だから、学校祭にかかるお金は全部管理してたんだ。
そりゃあ顔面蒼白なるわ。大事件だ。