偏食系男子のススメ【完】
「……なんで、鍵……」
「ああ、藤島まっすぐ音楽室行っちゃったみたいだから、職員室で事情説明して借りてきた」
「……あっそ」
「こんな風にいつでも冷静に行動できる俺は、藤島にとって大いに利用価値があると思うのですが、」
「……」
「付き合う?」
「ねーよ」
すぐそこに持ってくなっつーの。死ね。
だめかーとけたけた笑う早川を睨みつけて、すぐに顔をそらした。
……けど、助からないこともなかった、かもしれない。あれ以上やってたら足を痛めて、ボス猿に治療費請求する破目になるとこだったし。
絶対、口に出したりしないけど。調子に乗らせて良いことなんか一個もないし。
「どういたしまして」
と思って何も言わなかったのに、早川は全て見透かしたように嬉しそうに笑うからムカついた。
感謝なんか、これっぽっちもしていないってば。