偏食系男子のススメ【完】
ていうかそんなことしてる場合じゃなかった。
静まり返った音楽室をざっと見渡すけど、お金らしきものは見当たらない。
普通、クラス会費は茶封筒に入れて渡されるから、何かの書類と混ざってたら厄介だ。
音楽は選択科目だから私はとってないし、どんな授業をしたのか、ボス猿の席がどこなのかもわからない。早川も同じ。
片っ端から虱潰しに探していくしかなさそうだ。
なんで私がこんな面倒くさいこと……。
これからの作業を考えただけでうんざりするも、こうしている時間が勿体ない。
廊下側から机の中を順々に覗いていけば、早川は窓側の席から手伝ってくれた。
途中、使用済みと見られる丸められたティッシュを発見し、気持ち悪くなったけど。誰だよ自分で捨てろよ。
だけど結局、ちょうど真ん中の席でぶつかった私と早川は、互いに収穫を得られずに終わってしまった。
「あー、……ムカつく」
思わずぼやきたくもなるってもんだ。
ボス猿のためになんで私がこんなことしなきゃなんない。あの人の責任なのに。