偏食系男子のススメ【完】




ていうかそんなことしてる場合じゃなかった。



静まり返った音楽室をざっと見渡すけど、お金らしきものは見当たらない。


普通、クラス会費は茶封筒に入れて渡されるから、何かの書類と混ざってたら厄介だ。



音楽は選択科目だから私はとってないし、どんな授業をしたのか、ボス猿の席がどこなのかもわからない。早川も同じ。


片っ端から虱潰しに探していくしかなさそうだ。



なんで私がこんな面倒くさいこと……。


これからの作業を考えただけでうんざりするも、こうしている時間が勿体ない。



廊下側から机の中を順々に覗いていけば、早川は窓側の席から手伝ってくれた。


途中、使用済みと見られる丸められたティッシュを発見し、気持ち悪くなったけど。誰だよ自分で捨てろよ。



だけど結局、ちょうど真ん中の席でぶつかった私と早川は、互いに収穫を得られずに終わってしまった。




「あー、……ムカつく」




思わずぼやきたくもなるってもんだ。


ボス猿のためになんで私がこんなことしなきゃなんない。あの人の責任なのに。


< 66 / 310 >

この作品をシェア

pagetop