偏食系男子のススメ【完】
2年になってやっとクラスが離れてからは、ウザいくらい毎時間うちのクラスに駆けつけて来てたのに。
私が無視するから、事情を知らない人たちは彼女のことを一人で騒いでる頭のおかしい子と思っていたことだろう。可哀そう。
だけど言われてみれば、ここ最近はずっと静かだった気がする。
川端さんの存在がどうでもよさすぎて気付かなかっのだと思う、そういえば。
「で、わざわざ追いかけて来て何の用?」
「もうあーちんひどい! 昨日できらりの補習が終わったから、頑張ったご褒美に今日は遊ぶって約束してたじゃん!?」
「ああ、補習あったんだ」
「1週間前言ったよね!? 補習であーちんにしばらく会いに行けないって、言ったよねぇ!」
わーうるさーい。そうだっけ。全然記憶にない。
彼女と話す時9割以上は適当に相槌を打ってるから、したくもない遊びの約束をしちゃってたのかもしれない。
首を傾げた私に、川端さんは大きな瞳をウルウル潤ませ上目遣いでこっちを睨んできた。
だから生意気だよ、とおでこにまたチョップしてやったら、大袈裟にも悲鳴を上げられた。
ていうか1週間の補習って川端さんどんだけ馬鹿だよ。