偏食系男子のススメ【完】




ていうかなんでいきなりそんなことを。今更。


まあボス猿がこんな都合の良い勘違いしてくれているなら、乗っとかない手はないよね。




「そうだったらなに? 億当たる宝くじをお礼として差し出してくれるなら有難く受け取るけど」


「なっ、……いや、嘘でしょ?」


「ホントホント。音楽室で見つけたのはこの私。だから枕を涙で濡らして私に感謝しながら毎晩眠るといいよ、寝ても寝ても育たない乳を抱きしめながらね」


「はあ!? 嘘、あんたなわけない……! 絶対違うだろ!」


「うん嘘。ほんとは見つけたの早川だよ」




嘘嘘言いやがって。


信じないなら最初から訊くなよ。まあ嘘なんだけど。



慌てて胸元を押さえたボス猿に吹きだしそうになりながら真実を伝えてやれば、彼女は訝しげに眉を顰めた。


今更隠しても貧乳っていう事実は変わらないのに、可哀そうに。




「……昨日泉は、藤島が見つけたっつってたんだけど」


「嘘つきなのは早川の方ってことなんじゃない? さっき私にしたみたいに責めてやってよ。あいつドエムだからきっと喜ぶ」


「ドエッ……!? い、泉はそんな男じゃない! あんたが私のために汗水、血、涙、体中からありとあらゆる液体をたらしながらクラス会費探したって……!」


「気付けよ。どっからどう聞いても嘘くさいだろ」




汗水はともかく、誰がボス猿なんかのために血や涙を零すというのだ。



< 83 / 310 >

この作品をシェア

pagetop