偏食系男子のススメ【完】
「……で、あーちんの隣の人誰?」
隣の人? って?
首を90度回転させれば、川端さんのことを新種の生物でも見たかのような目で見詰める早川の姿が。
その反応間違ってないよ。あと早川の存在忘れてた、放っといてごめん。
「……ああこれね、私のストーカー」
「……えっ!? ストーカー!?」
これもまた間違ってないだろう。
さらりと言えば、途端に戦闘態勢に入った川端さんが、眉を吊り上げて私の陰に隠れた。
いやいやそこは前に立ちはだかって早川のこと地面に沈めろよ。這い上がってこれないくらいには。その隙に私は家に帰るから。
なんて考えていれば、
「……藤島の友達強烈だね」
戸惑いがちに口を開いた早川は言葉を選ぶようにゆっくりと感想を告げる。
「友達じゃないから」
「きらりとあーちんは親友ですからあ!?」
「川端さんのツインテール千切っていい?」
「やだよお!」
バッと髪の毛を押さえる川端さんは、慌てて私と少し距離を取った。
その際胸まである長い髪の毛が揺れて、艶やかでちょっと羨ましい。っていうよりは妬ましい。