近くて遠い恋
1メートル
私は隆斗と夜道を歩いていた。
開催場所が分からないから隆斗の後ろをついていく。
隆斗は私の歩幅に合わせる……なんてことはしないからスタスタといってしまう。
「ねぇ隆斗」
声をかけると、ピタリと足が止まる。
「なんだよ?」
「なんで私を呼んだの?」
隆斗は前を向いたまま、答える。
「ついてからのお楽しみ」
わざわざもったいぶらなくてもいいのにね。
これ以上聞いても無駄みたいだ。
私は黙ることにした。