近くて遠い恋
「んー俺はどっちもどっちですね」
ひとつしかない機械にたどり着いて、先に私が選んだ。
「どっちかと言ったら?」
味を変えようとレモンティーのボタンを押した。
透明な赤茶色の液体が注がれる。
「朝比奈さんと一緒」
「よかった。やっぱりボールを打つほうが楽しいもん!」
私は嬉しくて笑った。
隣にいる純太くんの顔が少し赤くなったような気がした。
「……朝比奈さん」
「ああ、ごめんね」
ずっと機械の前に立ってたのが邪魔だったんだと思う。
私はレモンティーを並々入れたグラスをそうっと持って、横にずれた。
「いやそうじゃないです。えっと、俺はーー」
純太くんが何かを言おうとした時、私の目の前が真っ暗になった。