近くて遠い恋
目が温かい。肌のぬくもりを感じる。



私はすぐに分かった。なぜ真っ暗になったのかというと目を手のひらで覆(オオ)われたからだ、と。



そして誰がやってるのかというのも、もちろん把握(ハアク)している。



「この手をどけてよ隆斗!」



「ん? ああ」



視界が一気に明るくなった。



薄目になりながらも後ろを振り返った。



隆斗は何もしてません、というような素振りで両手を上げている。



一体何しにきたのだろう。



「ねぇ」



「なあ純太」



……無視ですか。



「は? どーした?」



純太くんは焦っているのか若干うわずったような声を出す。



まるで予想外だった、という感じ。



それに比べて、隆斗はいつも通りで淡々としていた。

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