近くて遠い恋
隆斗はらしくない優しい微笑みを浮かべる。
「俺にもわかんないんだよ。気づいたら外に連れてきてた。俺も驚いたんだ」
「なにそれ、変なの」
私はつい笑い声を漏らす。
だって本当に変なんだもん。
こんな隆斗は、初めてみる。
なんだか意外な一面が見れて嬉しかった。
「てかさ、もう俺ら先に帰らない? あと30分くらいで終わるし」
「えー。隆斗と一緒に帰るとなるとちょっとな」
もっと意外な一面が見えるんじゃないかなとイジワルしてみる。
「いや帰りたくないならいいよ。まあ暗い夜道で1人で帰りたいならどうぞ」
隆斗はいつも通りの涼しい表情で歩き出した。
ちょっと攻めてみたらすぐ躱される。
そういうところは本当、小さいころから変わってない。
「嘘です嘘です一緒に帰らせてください」
私は隆斗を必死に追いかけた。