近くて遠い恋
「凪沙(ナギサ)先輩!」
私はフェンスに向かってサーブの練習をしている最中のキャプテンを呼んだ。
凪沙先輩は私が支えている遥に気づくと、驚いた顔で駆け寄ってくる。
「え、大丈夫なの!?」
「えっとですね。全然駄目そうなんで、保健室に連れてっていいですか?」
喋る気力も無くなって俯いている遥に変わって私が状況を説明した。
凪沙先輩はぶんぶんと頭を縦に振って、私も手伝おうかと聞いてくれた。
「いえ、凪沙先輩は練習してください。ただ保健室につれてくだけなんで」
凪沙先輩は困った表情を浮かべる。
でも、もうすぐ先輩は試合があるから迷惑かけれない。
「とりあえず行きますね!」
私は一礼をして、コートから出て保健室に向かったーー。