近くて遠い恋
暖かい息が耳にかかってついびくりとしてしまう。
10センチ離れてるかどうか。そのくらい近い。
隆斗は私が耳が弱点ということを知ってるんだ。
だからこうやってわざと恥ずかしいことをする。
しかも、見ている人がいる前で平然と。
「あら大胆ね。最近の高校生ってすごいわ」
先生と他の人の視線が私と隆斗に集まるのを感じた。
……恥ずかしくて、たまらない。
「邪魔っ。どいてこの貧弱ヘタレ馬鹿っ」
早く隆斗から離れなきゃ!
私は隆斗を押しのけて、さっさと保健室を出た。