君に好きと伝えよう。




『え……それだけ?』

海が拍子抜けしたような声を出す。


『な、それだけってなに?私は日頃の感謝と気持ちを紙に書いてチョコの箱の中に入れた。それをそれだけってひどくない?』


すると海は頭をガシガシ掻きながら、ぶつぶつと何かを整理し始めた。


『待て待て、それって手紙じゃなくね?
それに……………あ!思い出した』

海は記憶の糸を手繰り寄せた。そして、


『そうだよ。あの時陸は「奈々からだよ。いつもありがとうだって」って言ってお前のチョコを渡してきたんだよ』

『え?』


『だからいつもみたいに俺と陸二人で1つのチョコかと思って食ったんだよ』


な………え?

確かにそれまでは一つのチョコを二人に渡してたけど………。いや、でも!


『だ、大好きって書いたんですけど』


『いや、大好きって告白と受け取れなくね?それにお前よく陸に大好きだって言ってたじゃん』


『そ、それは小さい時の話しでしょ!あの大好きはそういう大好きじゃなくて………』


って事は私の気持ちは陸に届いてなかったって事?

だったらあのチョコは毎年恒例のチョコだと思われて、挙げ句の果てには海とシェアしたって………


た、確かに手紙とゆーか、書いた紙は小さなメモ用紙で“陸へ”って宛先すらは書かなかったけど……
え、待って待って。



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