君に好きと伝えよう。



いつも誰かのせいにして、眉間にシワ寄せて、
寧々に生まれてくれば良かったって思い続けてた。


でも、

私が寧々になって、寧々が私になっても

陸と付き合うのは私になった寧々で、
今と何も変わらないんだと思う。


陸が優しさや同情で誰かと付き合う人なら
はじめから好きになってない。

きっと陸は寧々が好きだから付き合った。

それを認めるのに、こんなに遠回りしちゃったよ。




『陸、私ね、ずっと陸の事好きだったんだ。
寧々と同じくらいずっとずっと』


初めての恋、ドキドキして、
胸がぎゅーっとなって、

そんな人と両想いになれたら幸せだったけど、
だからって今が不幸な訳じゃない。


『だけど陸以上に寧々も大切。だから寧々を泣かせないでね。寧々の事、大事にしてね』


涙は出ない。

気持ちが届かなかったって泣いたあのバレンタインより、今の方が気持ちは晴れやかだよ。


『ありがとう、奈々。
約束する。本当にありがとう』


陸のその笑顔を見て、この人を好きになって良かったと心から思えた。


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