run and hide2~春の嵐~
頭痛がひどいというのに頭をブンブンと振ってしまって、おええええ~とソファーに倒れこんだ。
インド料理屋では一度も携帯をチェックせずに、帰宅してから酔っ払った瞳で確認した。それは、正輝からのコンタクトは一度もなかった、という事実だった。
そのせいで(いや、多分のアルコールも原因としてはあると思うが)寝ている間はうなされっぱなしだったはずだ。様々な悪夢を見る羽目になったのだから。
「・・・ああ、頭いたい・・・」
心の中も頭の中も暴風雨が吹き荒れていた。
だけど私は今日も会社へと向かう。だって、お仕事だもの。
つつ、と一筋涙が零れた。それは寝転がっているソファーの緑色のカバーにシミを作って消えていく。私は濁った頭と瞳を持ったままで立ち上がる。
・・・出勤よ。とりあえず、片付ける必要がある目の前のことから、やっつけてしまおう。
やっぱり亀山もほとんど死んでいた。
くっきりとしたクマがある目元には光などなく、だるそ~うにキーボードを操っている。今日はヘッドフォンもつけてなかった。頭痛がひどいに違いない。
夜食に誘ったのはやつの方だが、それに大量の酒を加えたのは紛れもなく私だ。だからいつもよりは優しい気持ちになって、ヤツの為にカフェインをとりに行ってあげた。
「お疲れ。はい、コーヒー。ブラックで」
お昼すぎ、私達は日がさんさんと差し込む会議室に座っていた。