run and hide2~春の嵐~


「梅沢さん、それで~、あのー、彼氏さんにあたし相談にのってもらいたいことがあるんですよ!是非もう一度お会いしたいなあ~って思ってるんですけど、構いませんか?連絡つけてもらえません?」

 ・・・は?

 バチっと目が覚めたようだった。

 私はまた一瞬で真顔に戻って目の前の新人さんを凝視する。

 何だって?

「相談?うちの彼氏に?」

「はい!」

 田中さんはキラキラと瞳を輝かせて、ちょっと身を屈めて私に近寄った。

「男友達のことで・・・ちょっと悩みがあるんです~。梅沢さんの彼氏さんなら優しいし、ほら、年齢も上だし経験も豊富かなって。だから相談にのっていただけないかな~って思いまして」

 ・・・いやいやいや。

 私はまた鼓動が激しくなるのを感じた。相談?男友達のことで?それってマジ?

 ビックリして口が開きっぱなしになっている私に向かって、彼女はバタバタと顔の前で手を振った。

「あ、勿論ダメだったらそれで構いませんから~!」

 ダメよ、当たり前でしょ。

「でもほんとあたし困ってて。きっと彼氏さんなら優しいだろうし、聞いてくださると思うんですよね~」

 あなたが困るとか、全く関係ないわ。

「出来たら一緒に御飯とか。お茶でもいいですけどー」

 何を言ってるのよ図々しい。

「その時は梅沢さんも一緒にいてくださっていいですし、それに・・・」

「聞いてみないと」


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