run and hide2~春の嵐~
うふふと嬉しそうに彼女は笑う。田島君も、前のもいいけど今の方がウチの会社にはあってるよ、と言い、サポートの牛田辺さんも似合ってるわね、とニコニコしている。
その時、私の隣、というか下、というかの場所で椅子にだら~っともたれている亀山がぼそっと言った。
「・・・何か、梅沢がもう一人になったかんじだな」
あ!?それはどういう意味で言ってんの!?売られた喧嘩は買うわよコラと半眼で威嚇する私の後ろで、田中さんは更に嬉しそうな声で言った。
「あ、判りますかあ~?わたし、梅沢さんみたいにしたかったんです~」
「へぇ、そうなの?」
牛田辺さんが首を傾げると、田中さんははい!と元気よく弾んで言う。
「素敵だな~格好いいなあ~って入社の時に思ったんです!それで、わたしも外見を明るくしてみようかな~って」
うーん、可愛い。ラブリーだわこの子。私はすんなりそう思った。
誰だって嫌われるよりは好かれたいし、それも自分より若い女の子に憧れてます的なことを言われたら嬉しいに決まってる。
私は機嫌をよくして、彼女に微笑んだ。
「とっても似合ってる。さあ田中さん、今日は一通りの営業サポートを教えるから、一日私に着いてきてね」
「はい!宜しくお願いしま~す!」
一日中、私は彼女と一緒に過ごした。彼女は某ドラ〇ンクエストのように後ろにぴったりひっついて歩いては、色んなことに興味を示した。営業中の異動時間もずっとアンテナを張り巡らせているようで、疲れないだろうか、と気にしたくらいだ。