オトナの恋を教えてください
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美野里の水着を選び、二人でごはんを食べての帰り道。
私はぼんやりと考えていた。
本気になっちゃ駄目。
柏木さんは誰のものにもならない。
私の未来は決まっている。
呪文のように呟く。
お見合いの話が出たのは6月だった。
母が私に手渡した封筒には写真と釣書が入っていた。
『結婚しなさい、いろは』
母が言った。
先にお風呂に入っちゃいなさい。そんな雰囲気の軽い発言だった。
だけど、今までもそうだった。
『大学はこことここを受けなさい。滑り止めはここ。浪人は絶対駄目よ』
『就職は安定した企業だけを受けなさい。大手の総合商社か、銀行ね。新人からこき使われるような業種はやめなさい』
母の命令はいつも絶対。
私も逆らう理由がないから、従ってきた。