オトナの恋を教えてください
「美野里とごはんを食べに行ってたの。すごく美味しかったよ、今日行ったイタリアン」


「そう、イタリアンもいいけど夜に食べすぎないようにしなさいよ。お見合いまであと少しなんだから。あなたは私に似て、太るとすぐに顔が丸くなる」


何か言うと、すぐにお小言にすり替わってしまう。
でも、こんなやりとりも慣れたもので、私はことさら嫌に感じない。


「身長がお母さんに似ればよかったね」


私は隣を歩く母を見上げる。
女性誌に取り上げられもするの母は、私より10センチほど身長が高い。

母がかすかに睫を伏せた。


「お父さんは……私より少し大きい程度だったからね」


私の身長はお父さん似。
ほとんど覚えていない父に似ていると聞くのは嬉しい。

だけど、強気な母が父の話をする一瞬、沈うつな表情になってしまう。

それが私は嫌。ものすごくつらい。
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