オトナの恋を教えてください
「何がダメだったんだ~!」
俺の隣、居酒屋の木製カウンターに額を擦り付けて呻いているのは第3営業部の同期・柘植だ。
俺は柘植のグラスに勝手にホッピーを注ぐと、了承なしで自分の生ビールジョッキと乾杯させた。
喉カラカラで、待ってる余裕なんてない。
「やっぱ斉田さん、彼氏いるんじゃないか?」
柘植が呻いているのは、先日の斉田美野里とのデートが奮わなかったという理由だ。
「いや、フリーのはずだよ」
壁に貼られたとメニューを眺めながら答える俺。
斉田さんがフリーってのは親友・いろはからの情報だから確かだ。