オトナの恋を教えてください
「A子からの連絡が執拗になってきたのはその後。メールは社内メールも合わせると、1日50件ほど。着信も何十回と入ってる。いつ仕事してるんだってくらい。内容も恨み事や脅迫に近いモンが増えてきた。さすがに俺も気味悪くなってきてさ。ほとんどのメールは返さなくなった。でも、A子は友達だと思ってたし、気が済めばやめるだろうくらいに安易に考えてたんだ」
「それは……ストーカーという状態ではないですか?」
いろはが遠慮がちに言葉を挟んだ。
俺は頷く。
「そうなんだよな。同じ部署の同期とすぐ上の先輩が状況を知って、上司に相談しようなんて言ってくれた。でも、できなかった。俺は入ったばかりの新人だし、変なモメ事で会社に居づらくなったり、上司の覚えが悪くなるのは嫌だった。ただただ保身のために事を荒立てたくなかったんだ。
そうこうしている内に、ずっと付き合っていた彼女から別れを切り出された」
俺の表情はつい苦虫を噛み潰したようなものになってしまう。
口調も自然と暗くなる。
「それは……ストーカーという状態ではないですか?」
いろはが遠慮がちに言葉を挟んだ。
俺は頷く。
「そうなんだよな。同じ部署の同期とすぐ上の先輩が状況を知って、上司に相談しようなんて言ってくれた。でも、できなかった。俺は入ったばかりの新人だし、変なモメ事で会社に居づらくなったり、上司の覚えが悪くなるのは嫌だった。ただただ保身のために事を荒立てたくなかったんだ。
そうこうしている内に、ずっと付き合っていた彼女から別れを切り出された」
俺の表情はつい苦虫を噛み潰したようなものになってしまう。
口調も自然と暗くなる。