オトナの恋を教えてください
「A子の行動に追い詰められて、俺が余裕のない態度をとっていたせいだろうと最初は思っていた。後で知ったことだけど、彼女はすでにA子に嫌がらせを受けてたんだ。隠し撮りをネットでさらされたり、中傷メールをされたり」
「ひどい……」
「でも、彼女はそれを俺に話してA子と闘うなんて意思はなかったみたいだな。俺のせいで自分が嫌がらせされたと知って、俺への気持ちが冷めた。理由も話さず別れを告げたのはそういうこと。
別れたらすぐにA子が寄ってきたよ、『彼女と別れたんでしょ?付き合って』って。なんで知ってんだよって話。もうここまで来るとホラーだよな。でも俺はまだ穏便に済ませたいなんて腹があるもんだから、A子に言ったんだ。『付き合えない。友達でいよう』って」
友達でいる気なんかない癖に、そんな絵空事を吹いた俺をA子は憎んだだろうな。
原因が彼女自身にあるとしたって、俺の態度が『保身』に傾いていたのは事実だ。
俺は幼くて、卑怯だったのだ。
「A子が会社に来なくなって、彼女の上司が俺の元へ事情を聴きにきた。なんでも、A子は俺に強姦されたから会社に来られないと言ってるらしかった。俺は一番望まないカタチで上司を巻き込むことになったわけ。
そこからが大変。
どう知ったのか、話し合い会場のミーティングルームにA子が乗り込んできてさ。わけわからないことを叫んで、わーっと瓶から薬みたいなもんを出して一気に飲むんだよ。俺も上司たちも大騒ぎで救急車呼んで。
……結局A子は死ぬ気なんかなくて、後で調べたら飲んだのは整腸剤だった。笑えるよ」
「ひどい……」
「でも、彼女はそれを俺に話してA子と闘うなんて意思はなかったみたいだな。俺のせいで自分が嫌がらせされたと知って、俺への気持ちが冷めた。理由も話さず別れを告げたのはそういうこと。
別れたらすぐにA子が寄ってきたよ、『彼女と別れたんでしょ?付き合って』って。なんで知ってんだよって話。もうここまで来るとホラーだよな。でも俺はまだ穏便に済ませたいなんて腹があるもんだから、A子に言ったんだ。『付き合えない。友達でいよう』って」
友達でいる気なんかない癖に、そんな絵空事を吹いた俺をA子は憎んだだろうな。
原因が彼女自身にあるとしたって、俺の態度が『保身』に傾いていたのは事実だ。
俺は幼くて、卑怯だったのだ。
「A子が会社に来なくなって、彼女の上司が俺の元へ事情を聴きにきた。なんでも、A子は俺に強姦されたから会社に来られないと言ってるらしかった。俺は一番望まないカタチで上司を巻き込むことになったわけ。
そこからが大変。
どう知ったのか、話し合い会場のミーティングルームにA子が乗り込んできてさ。わけわからないことを叫んで、わーっと瓶から薬みたいなもんを出して一気に飲むんだよ。俺も上司たちも大騒ぎで救急車呼んで。
……結局A子は死ぬ気なんかなくて、後で調べたら飲んだのは整腸剤だった。笑えるよ」