オトナの恋を教えてください
手をつないで電車に乗る。

今までとはまったく違う意味で手をつなぐ。
もう契約じゃない。
俺たちは、恋人同士になるのだ。
越えるべき障害はまだあるけれど。


代官山の駅で降り、改札を抜けた。


「柏木さんありがとうございました」


「あのさ、そろそろ名前で呼んでみない?」


俺の提案にいろはが嬉しそうに笑った。
頬を赤らめて、照れ笑いの後、いろはは小さな声で言った。


「ハジメさん、ありがとうございました。また、会社で」


可愛すぎるんですけど。

思わず、人目もはばからずいろはを抱き寄せてしまった。

小さないろはは俺の腕の中にすっぽりと納まる。

ああ、ここから出したくない。
ずっと、こうしていたい。
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