オトナの恋を教えてください
自分の部屋でまんじりともせず、時間を過ごす。
もうこれで3日目だ。
玄関が開く音が聞こえる。
母が出勤して行ったのだろう。
私は財布だけ小さなバッグに入れると、立ち上がる。
自室を出て、そろりと玄関に向かう。
「お嬢様、どちらにおでかけですか?」
声をかけられ、ぎくりと固まる。
振り向くと、一昨日から我が家に詰めている家政婦さんがいた。
「えっと、喉が渇いたので、コンビニまで……」
「でしたら、お紅茶をお淹れいたします」
「でも、雑誌も見たいし……」
「雑誌の名称を仰ってくだされば、間もなくやってくる谷村に申しつけ買って参らせます」
私はぐっと詰まる。