オトナの恋を教えてください



自分の部屋でまんじりともせず、時間を過ごす。
もうこれで3日目だ。

玄関が開く音が聞こえる。
母が出勤して行ったのだろう。

私は財布だけ小さなバッグに入れると、立ち上がる。
自室を出て、そろりと玄関に向かう。


「お嬢様、どちらにおでかけですか?」


声をかけられ、ぎくりと固まる。

振り向くと、一昨日から我が家に詰めている家政婦さんがいた。


「えっと、喉が渇いたので、コンビニまで……」


「でしたら、お紅茶をお淹れいたします」


「でも、雑誌も見たいし……」


「雑誌の名称を仰ってくだされば、間もなくやってくる谷村に申しつけ買って参らせます」



私はぐっと詰まる。
< 247 / 317 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop