オトナの恋を教えてください
母の押さえきれない憎しみを感じる。
怒りはおさまるどころかいや増しているのだ。

私が反抗する限り、母は私の意見など聞く耳を持たないだろう。
それが現実。


ふっと母が笑った。顔を上げると、嘲笑とも苦笑ともとれる悲しい微笑みを浮かべる母が見えた。


「本当に、悪い子」


母にとって悪い子になるのも仕方ないと思っていた。

だけど、こんな風に吐き捨てるように言われ、私の心はギリギリと激しく痛んだ。
心臓を真っ二つに切り裂かれたみたい。


「お母さん、……ごめんなさい」


気付けば、私は泣きそうな声で謝っていた。
頭の中を支配するのは恐怖と焦燥。


お母さんに嫌われる。

お母さんに捨てられる。

お母さんを泣かせてしまう。
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