オトナの恋を教えてください
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玄関のチャイムを押した。
家政婦さんがインターホンに出る。
「いろはです、開けてください」
おそらく母は昼頃の出社のため、ちょうど仕度している時刻。
リビングにいるだろう。
しばらく間があり、私が自室にいないことは確認されたようだ。
ドアが開く。
そこには家政婦さんではなく、母が立っていた。
「状況がわからないわね」
汚れた素足は玄関マットで拭いただけ。母について、リビングに入る。
家政婦さんは気を利かせたのか、部屋から出て行った。
ようやく母と対峙する。
「これはどういうこと?」
母が剣呑に問うてくる。
すっかり仕度を終え、コーヒーでも飲んでいたらしい。
リビングには環境音楽とコーヒーの香りが満ちている。
私たちの持つ喧々としたムードは、場違いな感じがした。