オトナの恋を教えてください
同時に、妙に納得している自分もいた。

そうか、やはり世界はうまく回っている。

運命論者ではないけれど、いろはの自立と俺の異動はまるで最初から決められていたことのように、自然に訪れた。

俺はいろはのそばにはいられないのだ。


「で、返事は?」


代田橋部長が俺を見ている。


「断れる種類のものじゃないでしょう?」


俺が答えると、代田橋部長がにっと笑った。


「正式には再来週からあっちな。送別会は来週頭に急いでセッティングさせるわ」



午前の遅い時間には社内のイントラネットに俺の異動が掲示された。
他にも数名の異動が記されているけれど、こんなに急なのは俺だけだろう。

きっと、いろはもこれを見ているはず。
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