オトナの恋を教えてください
仕事も恋愛も、いろはは何だって自ら選び取っていける。
誰に遠慮もいらない。それは俺相手だって例外じゃない。
俺に縛られて未来を決めるなら、母親の庇護下にいた時と大差なくなってしまう。
いろはに人生の選択を迫っては駄目だ。
「遠距離恋愛も自信ないしさ。離れている間、お互い縛りあわないで済むように、元の同僚に戻ろうよ」
心にもない言葉を平気な顔で言う俺を、いろははじっと見つめた。
「柏木さんがそう望むんですね」
いろはは気丈だ。
泣きそうな顔をにっこりと笑顔に変えて答えた。
「それなら、私もいいです。最初の関係に戻りましょう」
握った手はどちらからともなくほどけた。
宙に浮き、ゆるやかに落ちていく互いの手が、なんだか夢みたいだ。
「初体験、もらわなくて正解だな」
俺はぐちゃぐちゃになった心の中を押し隠すように明るく言う。
「タイムリミットもなくなったんだし、ゆっくり好きな男を探せよ」
誰に遠慮もいらない。それは俺相手だって例外じゃない。
俺に縛られて未来を決めるなら、母親の庇護下にいた時と大差なくなってしまう。
いろはに人生の選択を迫っては駄目だ。
「遠距離恋愛も自信ないしさ。離れている間、お互い縛りあわないで済むように、元の同僚に戻ろうよ」
心にもない言葉を平気な顔で言う俺を、いろははじっと見つめた。
「柏木さんがそう望むんですね」
いろはは気丈だ。
泣きそうな顔をにっこりと笑顔に変えて答えた。
「それなら、私もいいです。最初の関係に戻りましょう」
握った手はどちらからともなくほどけた。
宙に浮き、ゆるやかに落ちていく互いの手が、なんだか夢みたいだ。
「初体験、もらわなくて正解だな」
俺はぐちゃぐちゃになった心の中を押し隠すように明るく言う。
「タイムリミットもなくなったんだし、ゆっくり好きな男を探せよ」