オトナの恋を教えてください
いろはは気付いている。

俺の本当の気持ちも、俺がどうしてあんな態度だったかも。
自分が選ぶ道もわかっている。

だから、俺に乗ったのだ。
元に戻ろうなんて、無茶な話を笑って受けたのだ。

最後まで、究極の気ぃ使いだ。

人の顔色ばっかり伺って、バカだな、いろは。

だけど、ありがとう。

おまえのこと、好きになってよかった。
誰かのために必死になることの幸福をもう一度味わえた。

ありがとう、いろは。

西口改札の中、雑踏の隅で俺はいつまでも動けなかった。






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