オトナの恋を教えてください
足元で心配そうによもぎがにゃあにゃあ鳴いている。
よもぎが心配しているのはいろはのようだ。

俺はいろはの頬に両手を添え、彼女の顔を上向かせた。

いろはは涙に濡れ、怒りと悲しみで真っ赤な顔をしていた。


「遠距離無理とか……、自由にとか……、そんな言葉で納得しなきゃいけない私の身にもなってくださいよ!」


「だって、そうしなきゃいろははついて行くって言うだろ?」


「行きますよ!行きたいですよ!柏木さんが一緒ならどこだって行きます!……だけど、それが私に良い選択じゃないことだってわかってるんですよ!!」


いろはは涙を振り飛ばしながら訴える。

もはやキレ泣きだ。
こんな風にも泣くヤツだったんだな。

こんな時なのに、いろはの新たな顔が見られて感動している俺がいる。


「柏木さんに言われなくたって、私は本社に残ります!任された仕事をまっとうして、一人前になります!ご心配なく!福岡で新しい恋でも何でもしてください!」


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