I remember youー心の記憶ー
優しさ
小さい頃からそうだった。
喘息持ちで体が弱くて、いつもしたいことはできない。
走り回って遊んだこともない。
入院が多くて、学校も休みがち
友達も少なくて、いつも一人だった。
でも、そんな私に構うやつが一人だけいた。
幼なじみの城石翔。
翔はいつも私の隣にいて
何をするわけでもなく、何時間もそこに座っている。
一度だけ、聞いたことがある。
『何時間も暇じゃないの?』
そしたら翔は言ったんだ
「知らね。」
顔を背け、膨れっ面で。
その時わたしはまだ小さくて、
『怒るんだったら来なくていいのに。』
そーゆー考えしか浮かばなかった。
ただ、今思えばそれがあなたの優しさだった。
毎日毎日欠かさずに、2時からの3時間。私の隣にそっと座って居てくれる。
素直じゃない翔の優しさだった。